【本テーマの背景】
かつては、品質とコストのバランスがとれたもの(製品・サービス)が社会一般に受け入れられ、公害防止や省エネは(公的規制による制約条件といった)消極的位置づけであった。ところが、近年、廃棄物処分場の減少や地球温暖化問題への対策が品質(安全性を含む)やコストと同等に考慮せざるを得ないほど大きな社会的価値観となってきており、多くの業種で製品やサービスの設計・生産・メインテナンスの考え方を根本から見直さなければならなくなってきている。【本テーマの目的と進め方】
本テーマにおいては、このような様々な社会受容性の具体例と、それらの間の複雑なトレードオフ問題の解決方法について、講義と演習を通して学習する。【講義と演習の具体的内容】すなわち、まず、個々のトピックスについて基本的な講義を行い、それぞれに対して演習問題をグループで解決する。すべてのトピックスの講義と演習の後、それらを踏まえた応用問題をグループで議論して、結論に至ったまでの考え方を数班に分けてプレゼンテーションする。
トピックスとして講義・演習を行う社会受容性としては下表のものを考えている。14回の講義中、各トピックスをそれぞれ2〜3回で行い、最後に数回かけて応用問題の議論と発表を行う。なお、応用問題としては、例えば、家電製品の省エネ目標、燃料電池自動車の温暖化対策目標、などを選び、目標の置き方によりどのようなトレードオフがどの程度生じ、どのような技術開発が最も効果的となるか、また、最も合理的(すなわちトータルコストが最小になるよう)な問題解決方法は存在するか、を教官やティーチングアシスタントの大学院生と共に考える。
社会受容性の具体例 | 関連する講義・演習の内容 |
地域環境負荷(公害、埋立て地の逼迫、など)の低減 | 埋立て地の残存量とゴミの総量、循環型社会、3R(リデュース、リユース、リサイクル)、など |
地球環境負荷(資源枯渇、酸性雨、オゾン層破壊、地球温暖化、など)の低減 | 気候変動問題、温室効果ガス排出の現状、温暖化対策技術、LCEA(ライフサイクル環境負荷アセスメント)、など |
品質(基本性能、機能、信頼性、安全性、非破壊検査能力、など)の向上 | 信頼性工学、破壊力学、非破壊検査、稼働率、メインテナンス、リスクマネージメント、など |
コストの低減 | LCCA(ライフサイクルコストアセスメント)、社会受容性の貨幣価値化によるトレードオフの検討、など |
実際の運営方法について(2001.11.08)